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ペルセポリス (2007)
2008 / 01 / 27 ( Sun )
ブルース・リーと、アイアン・メイデンと、ノイバウテンと…。イランの"riot grrrl"半生記。原作者で監督でもあるマルジャン・サトラピの実体験を、ユーモアと風刺と皮肉、そして一人の少女の成長を通して描かれる。疑似モノクロ(一部パートカラー)のフランス製2Dアニメーション。まあ、さすがにデジタルで制作されてます。

ペルセポリス

好奇心が強く、また家庭環境的にもポリティカルな刺激を絶えず浴びて育った少女マルジ。両親や叔父さん、大好きなおばあちゃんの話しによると、どうも自分の生まれ育ったイランという国は、なんだかいろいろ厄介な国らしい。どう厄介なのか、それらはさまざまな形で表れるが、とにかく日常生活が息苦しかったり、大切な人が不当な責めにあって投獄され死んだり片輪にされたり。アイアン・メイデンのカセットテープを闇市で購入し、自部屋でエアギターしたり、スカーフつかヴェールを被りつつも背中に‘PUNK IS NOT DED’と書かれた上着で街中を闊歩したり…こういうのが「ファッションでない」ファッションパンクスだろうな。好感もてるわ。んまいま、個人的にパンクにはなにも興味がもてないし、厳密に云えばアイアン・メイデンはメタルなんだが(NWOBHMつことで?)。

主人公のマルジは、混乱するイラン政権下にあっても天真爛漫、イミフなことは「なんで!?どうして!?」と尋ね、頓知で窮地を脱し、両親やおばあちゃんの助け借りて、時に教師や軍人をやりこめたりもする。だが過ぎたるはなんとかですから。両親も「この娘にゃこの国狭すぎ!」ってかんじでウィーンへ留学させる。このあたり、まあ、そこいらのイランの一般家庭とは相当ちがうんだろうな…とおもわせる。環境も恵まれてたんだろうなあ。ほんでウィーンでは下宿先転々としながらフランス語学校でハミ出し者達と交流もち、ディスコ通ったりハッパ吸ったりダメな男とくっ付いたり離れたりといった欧風ユースカルチャーに触れる。だが消えない違和感。ダメ男のせいでホームレス~凍死寸前になって「このままだとやばいっしょ!!!」とばかりに帰国。だが、イランでも居場所なんかなかったんだぜ…。

なんつうのかな。意外と主義主張が強くない。そこがいい。たとえばイランがこうなった元凶は、そもそも大昔どっかの馬鹿が、英国から王制を導入して引換に石油を輸出してはじめてからなんだぜ、とか、やっぱアメ公は悪いんだぜ、とか、共産主義はやっぱクールなんだぜ、とか、そういうことをマルジ本人(=マルジャン・サトラピ)自身でなく周囲の人間に云わせてるのね。じゃあ、ご自身の政治信条はどうなの?っていうと、特にはない模様。幼少の頃はともかく、思春期過ぎる頃には男の子や音楽やファッションに興味津々になって、でもどっか自分のルーツに引き裂かれてしまい、享楽的になれないでいる。声高な主張はない。事実がそうだったんだ、それだけだ、といった風情。そういうあたりが安心できるというか信用できる。決して押し付けがましくなく、でもなんか反抗したくなるのは日本もイギリスもイランも同じでしょ?みたいな。

アニメーションそのものに関して。見たかんじ、蛭子能収とロシア構成主義とありがちなカートゥーン(ぱっとみ『キング・オブ・ヒル』とか)の融合のようなルックだが、かなり達者な画とアニメート。アナログ臭くみせているが、どっかフラッシュアニメだったり。でもまあけっこう動く。戦車や車両関係、背動シーンなど部分部分3Dモデルが使用されている。特筆すべきは爆発やタバコの煙、自動車からの排出ガスの動き。このあたりの処理は魅力的。あと、さすがに戦争シーンもあって、人の死ぬところの捌き方つか省略がなかなかに巧みだった。

PUNK IS NOT DED

YouTube - Persepolis Trailer (HD)

(26日、フォーラム2にて)
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コメント
--大発作--

コメントありがとうございます。
フランスの漫画っていうとBDかなーくらいの認識だったので。

機会があれば読んでみたいとおもいます。
by: ナーニカ * 2008/01/27 20:55 * URL [ 編集] | page top↑
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