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東京島 (2010)
2010 / 09 / 12 ( Sun )
狙いどころは外していないまま、でもこうなっちゃったという…ほとんど事故のような、云いかえれば奇跡とか、そんなような表現の似合う作品(とはいえすべて徹底した意思の下での作為だろうが)。社会の縮図たる孤島で、たとえば男と女、生と死、絶望と希望、愛と欲、聖と俗、残るか去るか…ざくっと二律背反、ゆれ動く女心あたり描くとかでしょ?…でもそうでもない。どんな映画なのか説明するほどに遠退いてしまうというか…黒沢清と北野武というバリバリ現役にあるふたりの巨人を結びつける篠崎誠の突拍子もない成果物。スタッフもまー豪華。以下盛大にネタバレ&無駄に長文です。

東京島
木村多江が海難事故に遭って無人島"東京島"に住まうことに。最初はダンナ(鶴見辰吾)がおったがあっさり木村にコロされる。そうこうして単純労働に倦んだ若い男ども(高学歴もいるものの基本クズニート)どもが島に流れ込むのだが、そのなかの腕っぷしの強いオスと再婚して木村はハメまくる。ある種のキングダムが瞬間出来上がるが、反目する窪塚洋介や密航中国人らが掻き乱す。焼き豚喰ってハラクチのまま寝入った木村だが、翌朝になって再婚相手が崖下でしんでいる(犯人は明示されず)。

(以後、機を見るに敏に長けた木村はメスの本能にも助けられながら(オスの愚かしさでも可)…シャッフル結婚→ケンタッキー!→丸太舟FUCK→再遭難→ババア呼ばわりされてカースト最下層→緑色の光線浴びてレポマン(これのみ窪塚)→まさかのプレグナントでカースト中位→かくれんぼしてヒエラルキー上位返咲き→崖下の中国人産院に行ったらピーナもいたよ→アラビックな美人ちゃん(サヘル・ローズ!)にとり出してもらったよ→おちゃめな双子だよ→ピーナの頭目が怒る→やばいから逃げようとしたらクズニートどもがヤサ急襲→ひとり残して東京島脱出成功!という筋)

男だらけの無人島でメス一匹。なので最初はちやほや。焼き豚やケンタッキー等々が喰えない不便も生じるが、木村は案外たのしそう。序盤はまるで北野武ふうのオフビートなコメディ(やや物足りないものの、窪塚の芝居で救われている)。だいたいなんで木村多江なん…?まあまあ美人さんだしスタイルいいし喋る声もかわいいんだよね。ロタ島あたりのシンプルなリゾートにでも訪れているかのようで、悲壮感がまるでない。これなら渡辺真起子や寺島しのぶなんかのほうがリアリティあんじゃないの?などと。あまりに木村が動じず泰然としててさ。こんなキャストアウェイ状況ならジタバタと見苦しいトコを観たいじゃないの!けれど三人目の再婚相手(福士誠治)がきを利かせてこさえた手鏡見るあたりから様相がかわる。

篠崎誠はサバイバル術みたいなモンを写し取ろうとはしていない。無人島暮らしで苦労してるシーンは一切登場しない。人間性むき出しになるかなといってもあまり極論に走ることもない。たしかに木村はマンガみたいに立ち振る舞って(勝手に)上がったり下がったりするが、それ以外は誰しも互いにあまり関心が薄い様子。騙し騙され、みたいな丁々発止くらいあるだろ…というのもない。多少肉欲や性欲をトレードするものの、駆け引きもすくない。ピーナのあたりは混乱の拍車をかけたのだろう。出産で覚悟の決まる木村や弾ける柄本佑はよかったが脱出のくだりは都合よ過ぎるかもだし、"10年後"の後日談として東京と"東京島"も相当キツいきもする。

けれどなんかねえ、わるくないんだよ。クソリアリティとか求めてるやつは観ないでいいんだよ。これ理解されるまでだいぶかかるんじゃないの?…よって評価は先延べにしたい。マンガのような連中が誰からも省みられない(外部からの助けはない)状況で右往左往。次第に脱出もオメコも価値がなくなる。作中窪塚は明白にアブダクションに遭っている。誰の親だか判らないお茶目な双子、一方は死んだとおもってドラム缶の墓標に祈られて、片方はおなじく誕生日席をこさえて待っている(どちらもどちらで会えないのに、会う手段がないのに)。やっぱ…これとんでもない作品だわ。撮影は芦澤明子で照明は市川徳充という『叫』『トウキョウソナタ』コンビ(当然VFXがらみで浅野秀二も)。スケッチ的ギャグにあわせてベッタリと鳴る劇伴は大友良英。留保でゆれるが結論として本作は木村多江でなくては、篠崎誠でなくてはならないケッタイな、でも見事な作品なのだ。

東京島

(11日、フォーラム2)
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