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クラムボン 『 LOVER ALBUM 』
2006 / 06 / 23 ( Fri )
和風叙情派音響ロック(ポップ)トリオ、クラムボンによる、カバー曲を集めたアルバム。
トリビュート盤への既発表曲などで製作年度に若干の差があろうが、結果は素晴らしい統一感。
見事に、まさにクラムボン色に染め抜かれている一枚。オリジナル盤以上にそんな印象をかんじる。

loveralbum.jpg

アートワークも、とくにジャケはクラムボンでなきゃ手抜きとおもわれても仕方がないほど素気ない。
(えーと、近年では矢野顕子『はじめてのやのあきこ』に匹敵するシンプルさ!)
***

1曲目「PRAYER(original:矢野顕子)」からして、一聴すると掠れててキーも不安定というか合っておらず、「あれ。歌えてないじゃん」って、なんだか不満のつのるかんじなのだが、それも3回目くらいになると、この調子で、この歌いまわしで、このはじまりでよかったと思えてしまう。

いついつのまにか、そんな調子。

曲構成や節回しは初期をおもわせる心地よさのカタマリのような曲も多く、仕上がりに対して妙に高踏的に感じてしまう前の(つまり、名曲「サラウンド」以前の)ニュアンスが戻ってきたかのよう。

これは、相当喜ばしい。
かといって、ランニングタイムを見ると6分7分とかザラなので、カバーであっても油断ならない…。

ともかく、この聴かせ具合の妙味で時の経つのを忘れてしまう。
ドップリと気持ちの良い温泉のような音楽に浸れます。

***

ええと、個別の感想めいたことをメモ程度記す。

まず、YMOの『以心伝心』。…ま、アトム・ハートが間違っているという訳でもない。
が、あえてこういう挑戦するさまは素晴らしいとおもう。
これは、オリジナルをたのしく裏切る行為がちゃんと成功していて結構いい。

真心とビートルズの!カバー。
前後のアウトテイクスなノリ、なんらかセッション風味のセリフなりSEはハッキリ蛇足。
なんだか原曲に対しての敬意よりレイピズム(つーか勝ち組の搾取?)をかんじてしまう。
ここはおれ自身の育ちの悪さを恨むしかないが、いかんせん、おれそういう本能で生きている。
カバーの内容じたいは最高なのに…だよ。

フィッシュマンズは、正攻法で挑んでいる。正直オリジナルと拮抗しようとすることがどんなに困難かわかってやっている。だから、このヴァージョンは個人的には大好きで、トリビュート盤でも相当聴きまくってた。渾身という言葉の似合わない、でも渾身というしかないカバーではないか。

(いま思い出したんだけど、なんかのFMのラジオ番組でハナレグミがこの曲をサラッと弾き語りしたときには驚愕して背筋が凍った。いや、ホメ言葉)

あと、「I Am Not A Know It All(original:BOW WOW WOW)」。これも既発表。だが、ひと言。
このひとたちは四つ打ち作らせてもソツなく仕上げてしまって、才能があるのは十二分にわかるんだが、逆におもしろくなくなる傾向にあって、この曲も結果そう。
はじまりはなんだか、ある時期のイタロ・ハウス(92、3年頃のノリ)を今日的生音で解釈したようなかんじでグーなんだが、後半段々音が加わりまくってさらに俗っぽくなってくんだよね。

絶対常に寸止めで、気持ちよくなる前になんらかはにかんでそれを遺棄してしまう。
そういう悪いくせというか特質が垣間見れる。

岡村ちゃんの曲は、コンピ内では陰鬱な印象だが、このなかにあって発揮される輝きがある。

寡聞にして不勉強のさまを晒すようだが「おだやかな暮らし(original:おおはた雄一)」は掘り出し物。
運転に支障をきたすよな、なんだかため息が漏れる。

***

基本的に最高だ。ここ数作のオリジナルアルバムやソロワークスよか、よほど、突き刺さる。
カバーする曲の選定さえ間違えなければ、ベースとドラムとピアノとヴォイスでなんとかなる。
そっから、なんとか、ジリリリと、既存からハミ出さんとするさまは、つたわる。

結果、ものすごく聴きごたえのある一枚になっている。とてもすごくヨロシイ。
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