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インサイド・マン
2006 / 07 / 07 ( Fri )
べつにおれは人種問題専門じゃないよ!散々やりつくしたからさ!それなら他をあたってくれ!

そうだよ。スパイク・リーは「それだけ」を旨とする映画作家じゃないし、近作はあえてそこから離れてゆこうとしているかのようだ。ホント偏見は(自戒を込めて)よくない。

と、いうわけで娯楽に徹したスパイク・リーの仕事が楽しめる一本。
リー×デンゼル・ワシントンなどというタッグが今更どうなのか、とはおもうけど。

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映画はクライブ・オーエンの、銀行強盗をやらかしたんだ…という観客への独白から始まる。

そういう緊迫性はシーンの割りに意外となく、前半はヌケをワザと配しているようにおもえるほどオフビート(誤誘導させるというより、もっとラフな感じ)。

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近頃の流行だった、トゥー・マッチというかトリッキー過ぎなドンデン返しモノにあってはイラっとさせるほどの緊張感を強いる作品が多かったように思える(そしてそのほとんどが無意味で脱力感しか残らない)が、本作はえらくダルな銀行強盗モノで、どの程度までミスディレクションさせたいつもりなのか、やや戸惑いながら鑑賞していた。

が、でもストレスは感じない。

なぜなら、皆、なんだかちょっとぬけてるようにしかみえないから。

そのせいか、主役のD・ワシントン扮する刑事が、えらくヒキのないダメポリスにみえて仕方がない。
ヘマして閑職に追い遣られ、たまたま不始末挽回のチャンスがやってきてネゴシエートするが、「ああコイツにはこのヤマは無理だな」とおもえてならなかった(この印象、かなり最後まで引きずる)。
初登場時、別人かなとおもえるほどキレがなく、ダルいかんじ。

ともかく、「無理して頭良い人の振りをするがんばっちゃってるひと」としかかんじられない人格描写(演技)を後半のかなりの辺りまでし続けて混乱させる。
これが彼の演技の幅なのかしら、と評価できるものなのか不明だが(さっきも書いたが、ホントこの映画に出てくる連中みんなちょっとバカみたいなんですよ…どう評したらよいのか)。

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とはいえ、途中から結構ノッてくる。二転三転するハナシは閉口する性質なんだが、割に一本筋が通っており、迂回しつつ謎を回収しつつと、まあおもしろくなってしまう。

で、結局のところクライマックスはえらくデカい人種問題に話が及んでしまう(ええ!?)。

冒頭と云ってること違うじゃん!まあそうなんだけど、今回の人種ネタが大ネタすぎてイマイチ実体をともなって迫ってこないのが玉にキズなんですよ。

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スパイク・リーがどのあたりまで娯楽作にそういうエッセンスを盛り込みたいつもりなのか分からない。でもおれはブラッカイマー映画のように平気で核兵器を扱ってしまうような容易さ(作劇上オモロイだろ?というかんじですよ)とは同一視したくない。なぜって、信用してるから。

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おわってみれば、出し惜しみのないすっきりする映画だなあと。
妙に遠回りなコトして、キャラクターもそれらが成す行為も深みが全然ないけど、でもなんかお客を楽しませようという心意気はかんじた。

(…それでも前半ダレ過ぎ。全体的にも長すぎ。語り口は達者だとはおもうが)

(ソラリス6にて)
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