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秒速5センチメートル (2007)
2007 / 05 / 21 ( Mon )
なかなかどうしてしたたかな、新海誠センセイの新作。例によって、密度の濃すぎる美術と、相変わらず青臭くもココロを掴んで離さないモノローグがてんこ盛り。シンパの期待は裏切らない。

こう…新海誠については云いたいことが結構あるのだが、ま、いいや。
嫌いではなく、むしろそのスタンスは好ましいし(個人売りの頃のCDロムとか持ってるし)、このひとの功績、つまり個人制作のアニメーションというものに世間が目を向けるきっかけになった先駆のひとだったわけです。敢えて云うけど世間的にはね。昔からそういうひとはいたのだけれど。

秒速5センチメートル

本作について、完全にネタバレでいく(…ので承知してね。観るきの人は読まないほうがいい)。

まず第一話。フルスロットル。もう、新海誠の真骨頂。先に挙げた息を呑む超高密度美術に中二病をこじらせまくった魂の独白(CV:水橋研二!!!!)がオーバーラップし、鼻の奥が痛み、咽ぶ。でも相変わらずキャラデはもっさいのであった…。

加えてこの話数はタイムサスペンス風ともとれる(たぶんとれない)ジワジワ感に、これまた新海作品でおなじみ天門のピアノアレンジによる『One more time, One more night』が被る!ああ、泣けってか?そうかそうか。

相変わらず(主に永遠の14歳な)観客のココロを弄ぶ術に長けた演出は、ともすればヤリ過ぎ感が漂うほどで、既におなか一杯。

***

つづく第2話。設定上だいたい第1話から3年くらいが経過。じつは個人的にこのエピソードが一番興味深く、新海の演出上の壁が垣間見えた話数であるとおもう。

作中、サーフィンするシーンがあるのだが…こう、不得手なことに果敢に挑もうとする姿勢というか頑張りはかんじられるのだが、この辺りがスタジオシステムの外でアニメを作る人の限界なのかとおもいつつ、興味深く観れた。こういう、いきなり外注くさい画が混じるのは、嫌いじゃありません。

ほか、コンビニでの最後のシークエンス、アオリがきもち悪かったりとかあるんですが、クライマックス、ミニマムな日常と強烈な対比をさせるためにロケットの打ち上げが被る。

わざとかどうかは知らんが、すごーく弱弱しい効果しか生んでない。その後、幾つかカット重なるんだが、まったくココロを打たなかった。だって、この一連のシーンのために引越しとかのしょうもない設定っつうか小芝居こさえたんでしょ?もっとケレンを効かせるのが筋なのでは?

***

第3話…というより、エピローグ。ある種これまで追ってきた男女の成長の様が描かれる。

そこで一種ドロっとした苦味を添えたいのだろうなというのは判るのだが、なんせひとも景色も皆人工的で生々しさはそこにはないのでした!けれども、好みの多寡はあれ、見世物としては相当に洗練されている(えっと、ちなみに中身は何もありません)。



完全にPVと化した卑怯が過ぎる畳み掛けで嗚咽を漏らしていたひともいた。
だから、そういうひとのためには機能しているのだ。おれもちょっと前なら多分過剰反応。

***

そんなわけで、概ねよかったんじゃねえ?不満としては、エピローグに向かうとき、もちっと懊悩というか、苦みばしった表現なりドラマなりが紡げたらクライマックスはもっと効果的だったとおもう。
女一人生きるのに奇麗事だけじゃないでしょ?だったらば、明里ちゃん(ヒロイン)のほうの人生にも、もっと泥臭く触れたらば…(3話でメンヘルっぽいキャラがイキナリ登場、処理し切れてない)。

あとさ。席にはけっこう香ばしい人らがいて、こういう人らに欲されるんだなあ、と(含むおれ)。

(フォーラム1にて)
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